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今日は懐かしいアルバムを持ってきた。 俺とあんたの2ショット写真から始まる、埃まみれの古いアルバムだ。 手で埃を払拭し、汚れた指でページをめくっていきながら、 あんたに数々の写真の見せていく。 懐かしい……。 笑うと頬にできる小さなくぼみも、笑うとへの字になる目も。 あの頃のあんたが懐かしい。 でも俺はそんなあんたの笑顔を守ることができなかった。 どうしてこうなってしまったんだ、なんて嘆いても現在(いま)の現状が変わるわけないけど 俺の心を締め付ける悔しさと歯がゆさが、 俺のせいで彼女はこうなってしまった、とつくづく感じさせる。嘆かずにはいられない。 願わくば、もう一度。 もう一度だけ。 「なあマリナ… もう一度笑ってくれや―――」 あんたの笑顔が見たいから 俺は今日もここへ来た。 俺は今日も、叶わない願いを嘆願する。 すっかりやせ細った、あんたの華奢な手首を握って。
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