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莉亜の口の端から伝い落ちる飲みきれ無かった薬水を、手拭いで拭き取り再び白湯を口に含んだ。
顎を支え、唇を重ねると…
薬水で潤った唇は先程のカサつきが無くなり、熱く…柔らかな感触に変わっていた。
「…ん…」
ッ……。
ついグラつきそうになる不謹慎な思考を、何とかちっぽけな理性で抑え込みゆっくりと…水を流し込んでいった。
全て飲ませ終わると、名残惜しげにチラリと莉亜の下唇を軽く舌先で舐め、顔を離す。
…男(俺)って奴ぁ…
節操ねぇ生きモンだぜ…。
『ハアァ~…』
溜め息を吐き、濡れた莉亜の口元を拭った。
間近に辛そうな顔を見て、無意識に頼りない身体を抱き締めてしまう。
が、いかんいかんと腕を緩め、頭と背中を支えながら静かに横たわらせる。
肩口までしっかりと布団を掛けて…ホッと息を吐いた。
…これで、楽になってくれると良いんだが…。
しかし疲れた…
手拭いを莉亜の額に戻し、脱力した様に座り込む。
看病ってのは…気ぃ使うな。
…相手が莉亜だからか。
全てが華奢な造りの莉亜の扱いにまごついた。
壊しちまいそうで。
壊れる訳も無いのに…情けねぇ話だ…
苦い笑いを面に出して茶を啜ると、また出る溜め息。
と、莉亜が身動ぎしたので身を乗り出して見守ってると、暑いのか蒲団から片手を少し出していた。
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