雙の道 弐

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瞳を見開く莉亜はきっと、この短時間に色んな事が起こり過ぎてて、頭が付いてきて無いんだろう。 だが、俺のした仕打ちに戸惑いからの抵抗はあっても、本気で抵抗する様子は無いと感じた。 たまに漏れた拒否の言葉には何の力も無く、有るのはその中に微かに混じる甘い響き。 てぇ事は、だ。 『莉亜。お前は俺に少しずつ落ちて来てるんだろ?』 濡れた唇をソッとなぞる。 「……落ち…て?」 その唇から発せられる辿々(たどたど)しい振動が、触れた指先に伝わって来て俺は目を細めた。 『お前は俺に惚れかけてる』 それは暗示の様な呟き。 そして、願いでもあり確信でもあった。 『違うか?』 「…ッ」 『違うって言えるか?』 「そッ…れは」 カアッと一気に顔に熱を集中させた莉亜は、俺から顔を背け様とする。 させねぇ。 俺は容赦無く、乱れた髪に指を差し込み後頭部を捕まえる。 「!?…ンッ…」 重ねた熱い唇が俺のせいかと思ったらゾクッと来た。 『……ほら。嫌じゃない』 唇をソッと離して眼前で潤んだ瞳を覗き込む。 「ッ…!!」 ニヤリと笑った俺は更に追い詰めに掛かった。 どうしても、言わせてみたい。 『莉亜。俺に惚れかけてるんだろ?聴かせてくれよ。お前の声で聴きたい』
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