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瞳を見開く莉亜はきっと、この短時間に色んな事が起こり過ぎてて、頭が付いてきて無いんだろう。
だが、俺のした仕打ちに戸惑いからの抵抗はあっても、本気で抵抗する様子は無いと感じた。
たまに漏れた拒否の言葉には何の力も無く、有るのはその中に微かに混じる甘い響き。
てぇ事は、だ。
『莉亜。お前は俺に少しずつ落ちて来てるんだろ?』
濡れた唇をソッとなぞる。
「……落ち…て?」
その唇から発せられる辿々(たどたど)しい振動が、触れた指先に伝わって来て俺は目を細めた。
『お前は俺に惚れかけてる』
それは暗示の様な呟き。
そして、願いでもあり確信でもあった。
『違うか?』
「…ッ」
『違うって言えるか?』
「そッ…れは」
カアッと一気に顔に熱を集中させた莉亜は、俺から顔を背け様とする。
させねぇ。
俺は容赦無く、乱れた髪に指を差し込み後頭部を捕まえる。
「!?…ンッ…」
重ねた熱い唇が俺のせいかと思ったらゾクッと来た。
『……ほら。嫌じゃない』
唇をソッと離して眼前で潤んだ瞳を覗き込む。
「ッ…!!」
ニヤリと笑った俺は更に追い詰めに掛かった。
どうしても、言わせてみたい。
『莉亜。俺に惚れかけてるんだろ?聴かせてくれよ。お前の声で聴きたい』
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