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「…もッ…かんに、ん…」
『駄目だ』
「……」
逃げようにも逃げられない莉亜は、後頭部を掴まれたままフルフルと小さく震える。
間近に見下ろす獰猛な俺の目を怯えではなく、潤んだ瞳で見つめた後、観念したように僅かに唇を開いた。
「…ウチは…土方はんの事…」
『…』
「土方はんを…好…きに…なりかけてる…と…思います……」
恥ずかしそうに、少し瞳を伏せてそう言った莉亜は直ぐに俺の目を見つめ直して来た。
『ッ!』
………や
……やべぇ…
ちょっと待て!
俺は莉亜を解放すると、身体ごと思い切りグリンとあらぬ方を向いた。
「…ひ、土方はん…?」
『ちょっと待て!そのまま動くな』
莉亜が不安そうな声を滲ませ、俺を覗き込もうとしたから更に身体の向きを変える。
『絶対、動くな?』
「は…はい。…?」
や……
ヤバイ。何だこりゃ!
俺が聴きたいから無理矢理言わせたようなモンなのに!
どう頑張っても…顔がふやけちまう!
おまけに熱い!
駄目だ、落ち着け。
『ス~…フ~……』
ハァ…参った。嬉し過ぎる。
本当に好きになりつつあってくれてるとは…やべぇ。
………つか。
好きになりかけてるって…
それはもう好きだって事と変わりねぇんじゃないのか?
………
気持ちの割合の問題か…好きかも知れない、じゃぁ駄目なんだからよ。
だが、半分…は言い過ぎとしても四割くれぇは落ちたと、思ってても良い、よな?
後、もう一押しってとこか?
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