雙の道 弐

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強い目でそれを見つめて口角を上げた。 『分かったか?』 「あ…」 一瞬、怯えた様に大きな黒曜の瞳が揺れ、また飛び立とうとしたのは俺の欲を感じたからか。 それでも。 捕食間際の小鳥は―… 『分かったな』 逃げずにその羽を畳んだ。 「…は、い」 観念した様に溜め息を落とす莉亜に、何だかんだでホッとした俺はクシャリと柔らかな髪を撫で回した。 『ん。良い子だ』 「……良い子…」 あ。 ジト~っと、見上げて来る莉亜の琴線に触れた事に気が付いて、思わず笑みが漏れた。 『フッ…いや。良い女の間違いだな』 「ぅ…」 それはそれで困るのかよ。 赤くなって言葉に詰まる姿に苦笑する。 『さて。良い女の莉亜殿?』 「…へ?」 俺のそんな言い回しに、キョトと小首を傾げて見上げて来る。 『髪がえらい事になってるけど、そのままで良いのかい』 「えッ!?」 慌てて髪をまさぐる莉亜に、買ったばかりの鏡を包みから出して手渡してやる。 『ほら』 「あ…。すんまへわッ!?な、何で…」 両手で鏡を持って覗き込んだ途端、唖然と固まった莉亜にシレッと言った。 『俺しか居ねぇだろ、んな事出来たのは。その結い上げられた髪を乱してやりたかったんだよな。この手でよ』
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