雙の道 弐

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ニヤリと満足げに笑って手を伸ばすと、丁寧に簪を引き抜いて鏡を取り上げた。 『ちゃんと結い直しな』 「…もう…」 微かに頬を膨らませ、笄を外すと自由になった髪が、ファサリと肩に広がった。 『…』 その髪を手櫛で整える、無防備で…女っぽい仕草にまた欲が沸き起こる。 ハァ。 参った… 際限がねぇ。 今すぐその髪に指を差し込み、もっと乱して… 『……』 駄目だ駄目だ。 流石にそれをやっちゃぁ、莉亜のご機嫌が何処までも斜めに向いちまうかもしんねぇ。 ハァ。 『…お楽しみは取っとくか』 ジィッと、熱い視線を送っていた目を閉じて小さく呟いた。 「え?」 『いや。何でもねぇ』 「?」 訝しげに俺を見ながらも、ササッと手際良く笄で髪を結い上げる莉亜に感心する。 『上手いもんだな』 「…ふふっ。そら一応は…。ほな土方はん?」 ニコリとした莉亜が簪を差し出して来た。 『俺が?』 「はい。土方はんに差して欲しいんどす」 『…ん。分かった』 そんな些細で可愛らしい要求に、ドキリと大きく胸が鳴る俺は何処までも… 「お願いします」 こちらを向いて微笑む莉亜の結い上げられた髪に、ゆっくり簪を戻した。 「ふふっ。おおきに」 はにかむコイツに惹かれ無い訳がねぇ。
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