雙の道 弐

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「ッんむ!?」 素早く莉亜の唇に自らを合わせる。 案の定、逃げ腰になっているのをグッと引き寄せ、軽く唇を重ねたまま呟いた。 『拒むな』 「ッ!」 ビクッと目を見開いた莉亜が一瞬その瞳をさ迷わせ、そして。 細かく震える睫毛をゆっくりと伏せた。 それを合図に俺は深く喰らい始める。 「ん…ンッ」 柔らかな感触から漏れ出るのはやはり甘さの滲む声で。 逃げないと確信した俺は力を緩めて、華奢な背中と腰に手を添えるだけで良い。 「…ッふ」 すると、小さく息を漏らす莉亜が、僅かに震える手を俺の胸に当ててギュッとすがり付いて来た。 『ッ!』 「ッハ、ァ」 俺は慌てて顔を離して、荒い呼吸を繰り返す莉亜を見下ろす。 だ… 駄目だ。 あの莉亜がすがり付く様な仕草に俺は滅法弱い。 らしい。 あのまま居られちゃ、確実に押し倒しちまう。 『ハァ…。大丈夫か?』 身体を離して今更ながらに聞いてみた。 「……ハァ……土方はん…は……い、…いけず、や」 !!!! 『……』 う… あ……。 堪らん。 …誰か。 今すぐ此処に深ぇ穴を掘ってくんねぇか。 そん中に入って大声で叫ばせてくれ。 いや、 暫くそこに埋めといてくれ…。 いっそ、鴨川に飛び込んで頭を冷やしてぇ…
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