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確かに…悪い事をした。
あの時は…それが良いと思ったんだ。
可愛がって来た栄太と…お松と同じく、溺愛してきたあの子が一緒になればって。
だが…
「…」
それは大きな間違いだった。
良くも悪くも、全面に愛を押し付ける栄太を応援…したかったんだが…
あの子は…それはもう凄まじく嫌がったっけ。
「…」
ハハ…栄太も自業自得かもな…
諦めてくれない…か…やはり。
「ウチらが一緒になって、押し付け様してもぅたさかい…とうとう出てってしもた…」
美しい顔を苦しげに歪める。
ずっと後悔の嵐だったから…僕もだけど。
「でも…きっとあの子は大丈夫。もう一人で…何処かで元気に笑てる思いまへんか?」
大丈夫と言いながら不安そうな顔へ、安心させる為にも笑って大きく頷く。
「あぁ。あの子なら絶対大丈夫さ。あんなに可愛い子は居ないからねぇ。何処へ行ってもモテモテ…ごめんなさい」
安心のさせ方を間違って、凄い目で睨まれた。
「…兎に角!小五郎はんは栄太はんが無茶せんよに、しっかり紐付けとかなあきまへんえ!?」
「エエ~?…はい。承知しましたです」
「もう…」
出来るだけやってみます。
「……幸せに…なってなぁ」
愛しそうに、けれど寂しそうに微笑み、ここには居ない、あの子を思っているキミを
「お松」
ギュッと、抱き締める事しか…今は出来ないけど。
「きっと幸せになれるさ…」
幸せのカタチは、各々だろう。
だから、願う。
あの子にとっての…幸せを。
「…時にお松?君…本当に僕の事…好きかい?」
聞かないと不安になるのは何故だろう…
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