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「歳は…昔はあんなに表情を隠すヤツじゃ無かったんだよ。それなりに笑ってふざけ合ったり、総司と一緒になって悪戯を仕掛けて来る事もあったんだ」
はい、と相槌を打ち山南は話の続きを促す。
「ばらがきで…韋駄天の歳か…ハハッ!逃げ足は天下一品だったよ。いつだったか…まだ総司が小さい頃だったけどあの子を肩車したまま逃げ回ったりしてた事もあったなぁ」
「それはまた…凄い」
「だろう?今じゃ考えられないかもしれないが…彼奴は本当に明るくて優しいヤツなんだ…。そりゃ昔から怒らせたら怖かったけどね」
懐かしそうに笑う近藤に山南も想像しながら想いを馳せる。
「…夢を、語り合った頃からだろうか…歳が変わって来たのは」
「夢、ですか?」
「うん。いつか…本物の武士になるんだと…あの時もこうして酒を酌み交わしていたね」
「成る程…」
近藤も山南も一息つく様に酒を口に運ぶとほぼ同時にコトリと猪口を置いた。
「それからあまり笑わなくなったけど…まだ笑顔は見れた。総司も大きくなってきたからか厳しくなったりしてね。それでも今と比べたら柔らかい方だったよ」
「では私達と出会った頃はかなり…」
「そうだねぇ…随分変わったよ。でも今より少し柔らかくなかったかい?ちゃんとした笑顔も見た事あるだろう?」
「確かに…そうですね」
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