恋の道 弐

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「そんな…」 「えっ!?だ、駄目かい?」 妙案を思い付いたと意気込んで提案したが、流石にそれは無理なのか…とガッカリ仕掛けた近藤の手を、力強く握る手。 「そんな面白そ…いえ、楽し…いえ、見ものな…アァ失礼。重要な?計画でしたら是非とも協力させて頂きます」 「へ?…そ、そう?」 「ええ、勿論です。ふふっ」 「そう?ハハッ!いやぁ良かった良かった!」 こうして土方の預かり知らぬ所で妙な連盟が結ばれた。 二人に代わって言うが…ただただ土方の為を想っての計画なのだ。多分。 「よぉし。山南君!乾杯しようじゃないか」 ご機嫌に酒を注ぎ猪口を突き出した近藤に、山南も笑顔で猪口を合わせる。 「「乾杯」」 二人で一息に酒を煽り、フゥッと息を吐く。 「あ、一つ…気になる事があるのですが…」 「ん?何だい?」 不意に聞こえた冷静な山南の声に近藤は訝しげに首を捻る。 「…莉亜さん…本当に何処から家出してきたんでしょう。此方に来てから彼女…一歩も屯所から出ませんよね?余程見つかると不味いのでしょうか」 「…ふむ…」 「よもやとは思いますが…敵方と何か…」 「……」 気遣わしげな山南と顎に手をやり考え込む近藤…賑やかだった部屋に静寂が訪れた。
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