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そしてその夜から今日で五日目。
月姫の熱は未だに下がることがない。
なんとか京に連れ帰ってきたものの、医者に見せてもお手上げ状態。
何が原因でここまで熱が下がらないのかわからないらしい。
「晋作。今日は僕が会合に行かなければいけないから、雪のことは頼んだよ。
すぐに帰る。」
「……ああ、頼んだ。今は大事な時期だ。それに運の悪いことに狗どもがかなり嗅ぎまわっている。
古高にも注意するよう言っておけ。」
「わかった。」
稔麿は真面目な顔で答えた後、もう一度月姫の傍により額に口づけてから部屋を出て行った。
時折苦しそうに眉間に皺を寄せる月姫。
濡らした手拭いで顔を拭いてやっても、すぐに出てくる汗に俺も眉間に皺を寄せる。
「頼むから。お前だけは生きていてくれ。
お前は、ただ生きていてさえいてくれればいいんだ。」
苦しむアイツを見ていられなくなり、俺はたまらず部屋を出た。
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「また音沙汰なしなんですか。」
「音どころか気配さえわからん。あいつらが寝床にしそうな場所は何件かあんねんけど、姫さんがいる気配が全くないねん。それらしい目撃情報もまったく。」
「……本当に高杉たちと一緒にいるんだろうな。」
「それは恐らく間違いないかと。」
いつものように月姫さん情報の交換を土方さんと山崎君と、土方さんの部屋で行う。
あの日、内山を殺した月姫さん。
僕たちは次の日大坂を発った。
だから月姫さんたちがいつこっちに戻ってきたかは、山崎君の情報なしでは得られない。
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