第1章 はじまりの朝

2/5
前へ
/19ページ
次へ
…チチッチチッ 鳥の鳴き声が微かに聞こえる。 カーテンを通して遮られながらも、夏の強い陽射しは負けずに僕を照らす。 (暑い…) あまりの暑さに、意識が強制的に叩き起こされる。 僅かに瞼を持ち上げ、時計を見る。 【Am6:54】 出勤の準備をするには調度いい時間だ。 冬ならば、 二度寝しないように注意が必要だが、夏は全く別物。 自身の豊満なボディから放出された液体の気持ち悪さに、顔をしかめる。 シャワー浴びないとな… そう思い寝巻きをベッドに脱ぎ捨て、2Fの自分の部屋から、1Fへ階段を下る。 ―トントントントンッ…― キッチンからは小気味良い包丁の音と共に、味噌汁のいい匂いが漂ってくる。 (いつもユキは早起きだな。) 妹のユキが朝食を毎日準備してくれるから、早起きと料理が苦手な兄としては大助かりだ。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加