第2章 偶然と重なり合う必然の果てに

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(暑い…) 今日何度目の感覚だろう… この時期、僕が電車という名のトレイン(英語を使いたい年頃ユウスケ30歳)に乗ると常時感じているこの感覚。 朝の通勤電車は、よく小説に出てくるような『揺られる』って感覚じゃなく、『詰め込まれる』って感覚だ。 時おり揺れる電車の中で、隣の女子高生に勘違いされないように、右手は吊革、左手は鞄を握りしめる。 汗っかきな僕は、すでにサウナ1時間突破状態だ。 そんな時、 ふと、横を見てみる。 (あっデキちゃん…) 同じ車両の窓際に会社の後輩の女性社員デキちゃんを見つける。 出来かほり22歳… 彼女は今年の新入社員で、すでに会社の中ではマドンナ的な存在だ。 大きなパッチリ二重に薄い口唇、ロングの髪を後ろでまとめ、軽く化粧を施す。 (あの娘は地がいいんだよな…) 淡いベージュのスーツを着こなす彼女は、この暑い砂漠のような電車の中のオアシスだ。 ふと、デキちゃんの顔色が少し青白いことに気がつく。
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