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(どうしたんだろう…風邪かな?)
(………!!!)
電車の中で、なんとか目線だけを彼女に向けていた僕は、気付いてしまった。
彼女の下半身を必要に触る影に。
(ち、痴漢だ!!)
すぐに彼女の後ろに目を向ける。
後ろには、中肉中背のスーツを着た男性が、荒い息を撒き散らしながら立っていた。
(助けないと!!)
なんとか隙間を縫って、デキちゃんのもとへ人間の荒波を掻き分ける。
その間にも、彼女への魔の手は激しさを増していく。
彼女の瞳が少し潤んで見える。
(クッ…何を興奮してるんだ僕は!早く助けないと!)
若干の興奮と、怒りを胸に秘め、人波から彼女に到着したのは次の駅に着く寸前だった。
(よしっ!)
ガシッ!
僕は勢いよく、卑劣な男性の腕を掴んだ。
「嫌がってるじゃないですか!あなたはな…に…を?」
驚きを隠せない表情の男性がこちらを向いた瞬間、
怒りのゲージが驚きのゲージへ急速に変化していく。
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