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「うわ……なんだかドキドキしてきたよ……」
アカデミアの校門の前で胸に手を当てる少年が一人。名は斎槻煉。
さらりとした長い髪に端麗なその顔、少女と言っても差し支えないようなその容姿は、しかし中学校の男子制服、いわゆる学ランによってギリギリ「男」としてその存在を保っていた。
「今更ドキドキなんてしてられないよ、煉君。もうすぐ二次試験が始まっちゃうんだから」
少年の隣には呆れ顔の少女。赤髪のツインテールが眩しい美少女だ。
煉の幼馴染で、名は有馬姫香と言った。
「わ、分かってるけど……、やっぱり緊張するよ……」
「もう……ほら、煉君は早い番号なんだから、さっさと校舎に入らないと。試験が始まったらドキドキなんて言ってられないよ?」
「うわ、ちょ、押さないでよ姫香!」
姫香が煉の背中をぐいぐい押す。
姫香は昔から押しが強く、煉が子供の時はいろいろ痛い目を見た。そんな彼女が使うデッキは防御主体というのだから驚きだ。
「ほらほら、さっさと行くよー」
「だから押さないでってばー! 自分で歩くからー!」
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