悪夢教室

「今日からこのクラスへ転校してきた斉藤杏奈さんです。」

私、斉藤杏奈(さいとう あんな)は、今日からこの湍水中学校のクラスメイトの一員となる。シャイな私はまともにクラスメイトの顔さえ見ることはできなかったんだけど。

深緑色の大きな黒板に自分の名前を書いて

「宜しくお願いします。」

そして一礼。

教室に多少控えめな拍手が響く。
ごく普通の挨拶とクラスだったはず。

「ありがとうございます、あの空いてる席に座ってくださいね。」

空席を指差しそう言ったのは、
このクラスの担任、
木村由美(きむら ゆみ)。

顔がひきつってる。

小さい足音が聞こえるくらい静かな教室を歩き、初めてこの席座った。

先生がﾆﾔﾘと笑った気がした。

そう、私はもうこの次点で逃げられない。