プロローグ

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 21世紀後半に開発された、薬のように飲む錠剤型の「ナノタブレット/Nanomachine tablet」…通称:NanoTab(ナノタブ)という夢のような治療器具は、「飲むお医者さん」などという今ひとつなキャッチコピーで世に登場し、一部の保守的な層からは懐疑的に眉をひそめられたものの、服用することで胃腸から血管内に入りこみ、外科的な手術を必要とした難病の治療のみならず、従来は治療不能だとされていた疾病の悉くに対応可能であることが知れ渡ると、とたんに市民権を獲得し、目の飛び出るような高額であるという難点はあったものの、人類を、死という避けがたい…が、出来れば可能な限り近づきたくはない…ゴールから、また一歩遠ざける夢の技術として万人から歓迎されるに至った。
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