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「とにかく消去! それしかないよね」
残念ながら、酒の抜けた瑞希には、『とにかく思い出さないこと』以外の対処法が思いつかない。
落ち込んでいても仕方ないのだ。
失恋の痛みも昨夜の事も、考えても仕方ない。
「今日はちょっぴり贅沢しちゃおうかな」
帰宅途中にデパ地下のデリに寄って、美味しそうな惣菜を数点購入。
ついでにレンタルビデオ店で、数点借りる。
「あ゛ー、『干物女』にはならないようにしなくちゃ。今週だけ……今週だけ……」
ブツブツと自分に弁解しながら帰り道を急ぐ。
「……ただいま」
返事をする相手もいないのに、そう声をかけてしまうのは瑞希の癖だ。
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