序章

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ほの暗い部屋の中で、ふと薄目を開ける。 ……頭が痛い。 ズキズキする重い痛みに顔をしかめた。 隣からおだやかな寝息が聞こえてくる。 ! ! ! 寝ぼけた頭が急にクリアになった。 『――っていうか寝息っ? !』 『――ここドコ? 隣で寝てるのこの人、誰?』 状況にビクつきながら、そっと体を起こして周りを見渡す。 窓の外には大きく東京タワーが見えているのが、レースのカーテン越しに透けている。 近い……港区あたりだろうか。 街の灯りでぼんやりと浮かびあがる室内は、見覚えの無い景色だ。 隣で眠っている男性を覗き込んだが、暗くて顔立ちが良く見えない。
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