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『もうっ!なんなんだよー。ココ』
もう二度と来ないんだからと思いながらも、振り返ってガラス張りの高層マンションを見上げる。
空へとそびえ立つその高さが、瑞希を見下ろしているような圧迫感を覚えた。
『ない、ないっ! 消去! 初期化! 今夜の全てはなぁーんにもなかったデス』
心の中でつぶやきながら道まで出てタクシーを拾う。
「お疲れ様でした」
運転手がねぎらってくれたが、あまりに微妙すぎる。
まさか、何かと勘違いしていないよね?
情けなさもピークに達し、ため息をつきながら後部座席の背もたれに体を預ける。
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