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男は桜の顔をまっすぐ見詰めると、
「お前もアイツの娘か、面影がある…」
「…!!」
その一言に対し、桜は全身がビクッと反応する。
すると、
「桜ァっ!!」
「…!!」
大護が咄嗟に桜を押し倒し、直後に桜がいた場所を何か通り過ぎたような感覚を抱き、大護はすかさず桜の手を引いて走り出した。
「あいつ何かヤベェ、親父に何かしらの恨みを持ってる奴かもしれねぇ!」
「うん、ヤバい!確かにヤバい!!」
大護と桜は走りながら口々にそう言っていると、
「何処へ行く気だ…?」
「…!!!」
たった今まで背後にいた筈の男が、いつの間にか目前で道を塞ぐかのように立っている光景に、大護はまた息が止まりそうな程驚きを隠せなかった。
そんな男に対し大護は、
「逃げろ桜!」
桜の背を無理矢理押し、自身は囮になって逃がそうと試みた。
桜はそれを躊躇うが、
「早く行けェ!!」
「…!!」
その時の大護の気迫は凄まじく、桜は何も言えないまま走り出していた。
先に逃げた桜は気にもせず、男は大護のみを睨んでいると、
「ちょいと喧嘩するかオッサン!」
「……」
大護は不敵にニッと笑みを浮かべ、男と喧嘩する意思を見せる。
「くらえ!!」
「……」
大護は勢いよく踏み込みながら右腕を突き出すが、男はそれを軽くかわす。
しかし大護は、また気を取り直してすぐにもう一度拳を突き出すが、それすらも軽くかわされる。
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