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「もう一ぱ……!」
それでも大護は、懲りずにもう一度拳を突き出そうとするが、
「踏み込みが甘い、隙だらけだ…」
「…!!」
男は一度もポケットから手を出さないまま、大護はまた背後へ大きく吹き飛ばされた。
「く…っ!」
そこで大護は、痛む脇腹を抑えながらゆっくりと立ち上がろうとする中、
「…」
「ひ…っ!!」
ふと視線の先に男が歩み寄ってくる姿が見え、不意に恐怖する。
そして大護は、腰が抜けてしまったかのように動けなくなるが、男はそんな大護の情けない様子に呆れたように溜め息を漏らし、
「なんて無様だ、情けない…」
「…」
「お前の親父は、誰よりも強かったというのに…」
「…っ!!」
何気なくそう父親の話をすると、
「黙れよてめえ……」
「……!」
「俺の目の前で、二度と親父の名を出すんじゃねーよ!!」
大護は何故か、突然ブチ切れた。
そしてまた性懲りもなく、怒りのままに拳を突き出すと、
「…!!」
突然その右腕から、凄まじい業火が吹き出した。
男はその直撃を全身で受け、跡形も無く燃え尽きてしまったのか、直後に姿を消してしまった。
同時に大護は力尽き、その場でドサッと倒れ込む。
「いた!大護ーっ!」
それから数分後、桜は助けを呼びに渉を連れて戻ってき、横たわる大護を見付けた。
「大護ー!生きてるー?!」
そんな、大護が無事に助けられる様子を、
「ド阿呆が、まだまだだな…」
街灯の上から見ていた男は、フッとそこから姿を消したのだった。
「大護ー!死んじゃダメだよー!!」
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