~第壱幕~

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「もう一ぱ……!」 それでも大護は、懲りずにもう一度拳を突き出そうとするが、 「踏み込みが甘い、隙だらけだ…」 「…!!」 男は一度もポケットから手を出さないまま、大護はまた背後へ大きく吹き飛ばされた。 「く…っ!」 そこで大護は、痛む脇腹を抑えながらゆっくりと立ち上がろうとする中、 「…」 「ひ…っ!!」 ふと視線の先に男が歩み寄ってくる姿が見え、不意に恐怖する。 そして大護は、腰が抜けてしまったかのように動けなくなるが、男はそんな大護の情けない様子に呆れたように溜め息を漏らし、 「なんて無様だ、情けない…」 「…」 「お前の親父は、誰よりも強かったというのに…」 「…っ!!」 何気なくそう父親の話をすると、 「黙れよてめえ……」 「……!」 「俺の目の前で、二度と親父の名を出すんじゃねーよ!!」 大護は何故か、突然ブチ切れた。 そしてまた性懲りもなく、怒りのままに拳を突き出すと、 「…!!」 突然その右腕から、凄まじい業火が吹き出した。 男はその直撃を全身で受け、跡形も無く燃え尽きてしまったのか、直後に姿を消してしまった。 同時に大護は力尽き、その場でドサッと倒れ込む。 「いた!大護ーっ!」 それから数分後、桜は助けを呼びに渉を連れて戻ってき、横たわる大護を見付けた。 「大護ー!生きてるー?!」 そんな、大護が無事に助けられる様子を、 「ド阿呆が、まだまだだな…」 街灯の上から見ていた男は、フッとそこから姿を消したのだった。 「大護ー!死んじゃダメだよー!!」
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