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渉はゆっくりと隣に腰を下ろすと、冷静に何があったのかを尋ねてみた。
それに対し大護は、険しい表情を浮かべながら事細かに説明する。
「……!」
「渉さん…?」
その最中、大護が襲われた怪しい男の特徴を説明した時、渉は明らかに驚きの表情を見せた。
桜はすかさず疑問を抱いて首を傾げるが、大護は構わず続ける。
男は何もしていないのに凄まじい衝撃に襲われる、背後にいた筈なのにいつの間にか目前に現れる、そして何より大護の父に"でかい借り"があるという発言…それらの特徴に渉は心当たりがあるようだった。
「その男は多分…"煥"」
「カン?」
渉は辛うじて名前だけは知っていたようだが、あまり詳しくは知らないようだった。
しかし、
「気を付けろよ、これからはお前が妹を護ってやるんだ」
「……!」
大護には妹を護るよう深く釘を刺す。
初対面からいきなり襲ってくるような男が相手なので、渉のその発言は最もだった。
とにかくその煥(カン)という男は、かなりの危険人物らしい。
そしてそれに続き、大護の"腕に炎が纏う"幻の話をした。
「それはお前…幻じゃなくて"久神"の能力だろ!」
「クシン?」
渉が、大護の父の盟友である自身の先輩から聞いた話によると、大護の父は炎を操る久神だったらしい。
そして大護はその血を引いている為、同じ能力に目覚めた可能性も充分にあり得る。
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