~第弐幕~

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渉はゆっくりと隣に腰を下ろすと、冷静に何があったのかを尋ねてみた。 それに対し大護は、険しい表情を浮かべながら事細かに説明する。 「……!」 「渉さん…?」 その最中、大護が襲われた怪しい男の特徴を説明した時、渉は明らかに驚きの表情を見せた。 桜はすかさず疑問を抱いて首を傾げるが、大護は構わず続ける。 男は何もしていないのに凄まじい衝撃に襲われる、背後にいた筈なのにいつの間にか目前に現れる、そして何より大護の父に"でかい借り"があるという発言…それらの特徴に渉は心当たりがあるようだった。 「その男は多分…"煥"」 「カン?」 渉は辛うじて名前だけは知っていたようだが、あまり詳しくは知らないようだった。 しかし、 「気を付けろよ、これからはお前が妹を護ってやるんだ」 「……!」 大護には妹を護るよう深く釘を刺す。 初対面からいきなり襲ってくるような男が相手なので、渉のその発言は最もだった。 とにかくその煥(カン)という男は、かなりの危険人物らしい。 そしてそれに続き、大護の"腕に炎が纏う"幻の話をした。 「それはお前…幻じゃなくて"久神"の能力だろ!」 「クシン?」 渉が、大護の父の盟友である自身の先輩から聞いた話によると、大護の父は炎を操る久神だったらしい。 そして大護はその血を引いている為、同じ能力に目覚めた可能性も充分にあり得る。
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