~第弐幕~

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「知らねーよ…」 父の話題になると、大護が不機嫌になるのはいつもの事だと慣れた様子の渉は、すぐに別の話に移行する。 久神というのは、人間と似て非なる種族であり、人間の数倍優れた身体能力と治癒力を誇り、更にその各自が人智を越えた特殊な能力を持っていたという。 「話が長くなったな」 「……」 「まー早い話が、お前はその久神として覚醒した可能性がある」 渉は思わず微笑む一方、大護はいつの間にか興味のなさそうな様子だった。 「もしかして、大護がその久神に覚醒しちゃったからあの人が襲ってきたの!」 「どうだかな」 横で話を聞いていた桜はふとそう思うが、実際どうなのかはわからない。 そんな会話を交わしていると、共同玄関の扉が開く音が聞こえてきた。 「ただいまただいまー!」 「あ、深雪が帰ってきたみたいだ。それじゃ俺もう帰るから、また何か困った助けてーってなったらすぐに呼べよ」 「あ、はい。ありがとう渉さん」 深雪が帰ってきたのを合図に、渉はゆっくりと立ち上がり、部屋を出る。 大護と桜は部屋で二人になり、暫く沈黙が続く中、先に口を開いたのは大護だった。 「そういやアイツは…?」 大護が尋ねたのは、もう一人の妹の事だった。 それをすぐに理解した桜はすぐに答える。 「あの娘はちょっとね、合宿中だから少し遅れてくるみたい」 「そっか…」
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