~第弐幕~

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「ぶわっ…ゴホッ、ゴホッ!」 少し触れただけで埃が舞い、それにより咳き込むとまたそれにより埃が舞い、そんな悪循環の中で大護は苦戦していると、 「あ…っ!」 その中で、漸く母の日記を見付けた。 それも、自身が生まれる前から息を引き取るまで日付順に綺麗にビッシリと並べられており、先ずは丁度二十年前の日付の最も古い日記を手に取る。 その一頁目のとある一文に、大護はいきなり衝撃を受けた。 『久神は、長い役目を終えて消滅しました』 「…!!」 そこに詳しく書かれた内容によると、今から二十年前、壮絶な死合の果てに幻妖が滅びた事で久神は存在理由を失い、人間として転生するという形で消滅したという。 ここで新たに出てきた"幻妖"という言葉にも目を引くが、それよりも気になったのは、どうして消滅した筈の久神に自身が覚醒してしまったのかという疑問だった。 それ以降はどうも平和だったみたいで、特に目を引くような事は書かれていなかった。 そして順に目を通していき、最後の一冊…母が死んだとされる年の日付の日記に手を掛けようとした時、大護は何故かそれを躊躇った。 「………!」 手は微かに震え、何かに恐怖しているようだった。 暫くしてもその震えは一向に収まらなかった為、その最後の日記を見るのを断念する。 ふと時計を確認してみると、時刻はまだ夕方だった。 学校は午前中で終わり、煥に襲われたのはその直後、そしてそれから目を覚ましたのがその数時間な為、窓の外はまだ明るい。
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