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大護が無意識に口に出した虹平の名に真っ先に反応したのは修だった。
「そういえば最近あの子来てないな」
続けて翔次もそれに反応して中から姿を現すが、
「…アイツは一番気分屋な奴だ、気にするな…」
あまり気にしていないようだった。
それに対し大護は複雑な表情を浮かべていると、突然二人の女性が物凄い勢いで店に飛び込んでくる。
「翔次!!」
「翔さん!!」
「……!」
「秋、千広さん!どうしたんですか、そんな物凄い血相で!」
その二人は、かつての仲間だった秋と千広だった。
尋常じゃない様子に修は驚き、すぐに二人に尋ねると、二人は口を揃えて答える。
「和嶽が襲撃されてるの!!」
「頼む!手を貸してくれ!」
「…!!」
更に二人は焦りを隠せないまま口早に状況を説明した。
何の前触れもなく和嶽の里に現れた一人の少年が、突然里の者らを虐殺し始めたという。
その強さは壮絶で、里の者らが総出でもまるで歯が立たず、こうして最速の二人が援護を求めに来たのだった。
「虹平か…!」
その話を脇で聞いていた大護は、やはり真っ先に虹平を疑うが、しかしそれはすぐに否定される。
「違うよ、虹平君はそんな事するような子じゃ…」
「その子ならうちらも知ってるけど、違う!知らない子だった!」
「…とにかく急ぐぞ…裕紀、来い!」
一通り話を聞き終えた翔次はすぐにバッと身を乗り出した。
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