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翔次はすぐに奥の部屋から、かつて愛用していた大太刀"キサツラ"を持ち出し、咄嗟にレイを叩き起こして裕紀と共に店を飛び出す。
「レイ、修を頼むぞ!」
「お…おう!」
そんな緊迫した空気の中、大護は咄嗟に翔次に続いて行った。
「母さん、俺も行ってくる!」
「あ……絶対に無理はしちゃダメだよ!」
その場にいたほぼ全員が一斉に走り出し、修とレイの二人のみが残されるが、
「ぅ……!!」
「え……どうしたんだよ修姉さん!」
その直後に修は突然腹を抱えて苦しみ出し、レイは戸惑いを隠せない。
一方で一足先に一人で里へと帰っていた子龍は、
「え、里が……父上!!」
遠目でもわかる程に里の異常な事態を悟ると、無意識にそこへ向かう足が早くなっていた。
そしてすぐさま里に入ると、その光景はまさに戦場のようだった。
至るところで火が立ち上がり、誰もが武器を構えて何かに立ち向かおうとするが、しかしその悉くが瞬く間に返り討ちに遭う。
「何が…!」
そのあまりにも凄惨な光景に対し子龍は顔をしかめていると、
「伏せろ子龍!!」
「…!!」
突然誰かが子龍を頭上から押さえ付け、直後にその頭上を何かが通り過ぎる。
「父上!!」
咄嗟に子龍を庇い、そして何かに首筋を掻っ捌かれて絶命したのは、子龍の父の龍だった。
「父上!!父上っ!!」
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