8人が本棚に入れています
本棚に追加
子龍の叫びも虚しく龍は既に致命傷を負って目は虚ろになり、そして静かに息を引き取る。
子龍があまりの衝撃に泣き叫ぶと、
「オオオオォォォォォォ!!!」
「…!!」
まるでそれを掻き消すかのように、別の誰かが凄まじい声で雄叫びのように咆哮していた。
そしてその声の主こそがたった今龍を討ち取った張本人であり、
「貴様が…!!」
和嶽を襲撃したたった一人の少年だった。
子龍はその少年に、殺意に満ちた鋭い目付きを向けるが、しかしそれに対し少年は見下した表情で返しながら尚も咆哮していた。
「オオオオォォォォォォ!!雑魚に語る口は無い!俺が憎けりゃ殺しに来い!俺の名は"牙統"!!」
「牙統…!!」
牙統(ガトウ)と名乗る中学生くらいの少年は、軽い身の熟しで里中を駆け回り、携えた鎖鎌を華麗に操って次々と里の者らを討ち取る。
そんな中、
「おらおらおらァ!!」
そんな牙統に果敢に立ち向かう一人の青年の姿があった。
「鉄さん!その男を殺してくれ!」
「言われるまでも無いがぜよ!同胞の仇は俺が叩っ斬るきに!」
その青年の名は"土井鉄蔵"、愛称は"鉄"、かつて翔次らと共に戦場を駆け巡った普通の人間であり、タイムスリップしてきた生粋の侍だった。
鉄が物凄い勢いで刀の切っ先を突き出しながら牙統に向かうが、しかしそれに対し牙統はその悉くをかわす。
最初のコメントを投稿しよう!