~第参拾漆幕~

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それでも鉄は必死に食らい付くように得意の連突きを繰り出すが、しかしそれに対し牙統はそれをかわしては付近にいる他の誰かの首筋を正確に掻っ捌く。 「くっ…ちょこまかとすばしっこい野郎ぜよ!」 「オオオオォォォォォォ!!!」 更にそこへ、 「神道風裂突き!!」 「…!!」 満を持して遂に姿を現した和嶽の里の長・雹虎が、不意討ちの神速の槍の突き技で牙統を狙うが、しかしそれすら軽くかわされる。 子龍が見守る中、雹虎と鉄は息の合った連携で徐々に牙統を追い詰めるが、 「オオオオォォォォォォ!!」 「…っ!!」 「子龍!!」 まるでそんな二人を嘲笑うかのように、牙統は二人の間を通って子龍に向けて鎖鎌を放った。 不意を突かれた子龍は反応が間に合わず、その直撃を受けそうになるが、 「ぐぁぁッ!!」 「雹虎さん…!!」 咄嗟に雹虎が盾となって立ち塞がり、腹部に深々と突き刺さる。 しかしまだ辛うじて致命傷は避けたようで、一方でその隙に鉄が一気に牙統との間合いを詰めるべく勢いよく踏み込むが、 「オオオオォォォォォォ!!!」 「…っ!!」 それは囮だったのか、雹虎の腹部に突き刺さった鎌は更に雹虎の腹を大きく引き裂き、また更にその勢いのまま引き戻されて鉄の背に突き刺さった。 それにより雹虎はその場で倒れ、しかし一方で鉄は尚も牙統に向かおうとするが、 「………っ!」
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