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「…!!修が危ない!!」
一方で、牙統が和嶽で虐殺を開始したのを合図に秋と千広が助けを呼ぶ為に里を抜け出したのを見送る、一人の少年の存在もあった。
「牙統……今の君はまさに"瞬神"、後は任せたよ」
「オオオオォォォォォォ!任せろ!!」
それは、若かかりし頃の虹平だった。
虹平が修から翔次らを遠ざける為、仲間の牙統に和嶽の里を襲わせ、援護に駆け付けてきたところで自身は修の元へ向かう算段だった。
しかしその計画は大きく外れ、暫くして里に駆け付けてきたのは裕紀一人だけだった。
「嘘だろ……嘘だろ…なんでお前が!!」
予想外の虹平の存在に対し苦悶の表情を浮かべながら裕紀は、逃げるようにその場から立ち去ろうとするが、
「知らせねーと…早くアイツに知らせねーと!!」
「俺の目的と正体を知って、生きて帰れると思ってるのか?」
当然虹平はそれを許さない。
虹平がバッと手を翳した瞬間、突然何処からともなく現れた無数の異形が裕紀を囲む。
「透明砲(トラペア・キャノン)!!」
「へぇ…やっぱやるね」
裕紀はすかさずそれらに迎え撃つが、しかし有象無象に手を焼く。
それでも裕紀は、この事実を早く翔次に伝えるべく、子龍を抱えて走り出した。
「退けよてめえら…そこを退けェェェ!!」
時は少し遡るー。
翔次らが秋と千広に先導されて駆け始めた直後、突然裕紀の携帯が鳴った。
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