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相手は、修と共に残ったレイからだった。
『大変だ!修姉さんが…!』
「落ち着けレイ!何があった!」
レイによると、修が突然お腹を抱えて苦しみ出したと言い、それに対し裕紀はあたふたし始めるが、しかし翔次は冷静だった。
「…あいつの側にはレイがいる。それより今は里を救う方が先だ…」
翔次は構わず先へ急ごうとするが、それを秋が止める。
「修ちんのとこ行ってあげて!里の方はうちらが頑張るから!」
秋は涙目になりながら翔次を説得するが、それでも翔次は耳を貸さない。
更に千広も、
「行ってやれよ、私らの事は私らで何とかする。心配掛けて悪かったな…」
苦渋の表情を覗かせる。
一方で裕紀は、歯を食い締めながら強く思った。
「時間が……!!」
その次の瞬間、裕紀は気付いた時には一人で和嶽にいた。
「何があった、皆は…?」
状況を理解出来ないまま、裕紀は無意識に里の中へ向かって走り出し、危機に陥っていた子龍を咄嗟に助ける。
虹平が牙統に里を襲わせた理由を知り裕紀は驚きを隠せず、急いでそれを翔次に伝えるべく走り出そうとするが、有象無象の異形を相手になかなか上手く動けない。
「く…時間がないってのに!」
そのまた次の瞬間、裕紀はまたいつの間にか修の側にいた。
「裕紀…?」
「修、何が…?」
裕紀自身、何が起きたのかわからなかった。
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