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脇には和嶽から連れてきた子龍の姿もあり、夢ではないとわかる。
訳がわからないまま、裕紀は苦しむ修を介抱した。
「ぅ…産まれそう……」
「産まれる?産まれるのか!」
裕紀はすかさず修を奥の布団で寝かせ、力が入り易いように手を握り締める。
「頑張れ修!もうすぐ翔次も引き返してくるから!」
一方でレイと子龍はどうしていいかわからず、脇であたふたしていた。
「レイ!すぐに翔次に連絡してくれ!」
「お、おう!……あ、ダメだ。あの人携帯持ってない!」
「秋が一緒にいる筈だ、秋の方に電話しろ!早く!」
「そうか!」
「子龍、急いで桶に水を組んできてくれ!それと綺麗な手拭いと!」
「は、はい!」
そんな二人に裕紀は的確に指示し、二人もすかさずそれに応える。
レイの電話は繋がり、レイの口から簡潔に状況は説明されるが、
「…わかった…お前らは修についていてやってくれ…」
それに対し翔次は、秋と千広には修の元へと向かうよう頼み、自身は虹平がいるであろう和嶽へと向かう意思を示す。
「翔次!」
「…今あいつを放置するのは危険だ、俺が行って食い止める…」
「でも!翔さん久神じゃなくなったのに、一人じゃ危険だよ!」
「……!」
大護は知らなかった。
翔次や千広らのようにかつて久神だった者らは、今はその力を無くして人間になってしまったという事を。
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