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状況は極めて深刻だったー。
修の華奢な身体に対し、お腹の子供は双子で、半分とはいえ久神の力を無くした為に大幅に体力が減った事で、限界が近い。
最悪の場合、二人の子供は産まれてこず、修も致死量のダメージを負う可能性があった。
「負けるな修!」
「うん…!」
実は久神の特徴の一つとして、子供が出来る度に体力が著しく低下するらしい。
その為、久神は兄弟が少ないもしくはいない者が多く、場合によっては寿命を大幅に縮めて子を産む者も多かった。
その事を知っている裕紀は深刻な表情を隠せない。
「修!!」
「裕紀…お願いがあるの……」
そしてその事は、当然翔次も知っていた。
人間としては大分と身体が弱っている今の修が、子供を産む体力が残されていないかもしれない…それでも修は、前日までに前以て翔次に強い決意を示していた。
『私…この子、産むよ』
例え自身の体力が持たないとわかっていても、それでも修は絶対に産むと決めていた。
だからこそ翔次は、そんな修の決死の覚悟の邪魔をさせない為、何が何でも足止めをする覚悟を決める。
そんな翔次が和嶽へと向かう道中、その目前に立ち塞がるような虹平の姿があった。
「待ち詫びましたよ、師…」
「…虹平…」
一瞬にして緊張が走り、脇で大護は頬に汗を伝わせてゴクリと喉を鳴らす。
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