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翔次の絞り出すような問いに対し虹平は、まるで見せびらかすかのように左手の甲を見せ付ける。
「これが俺の、新たに得た力の証明だ…」
「……!」
そこには、まるで悪魔を象ったような凶々しい紋章が浮かび上がっていた。
そして虹平は、得意気にその説明を始める。
「"魔紋"…そう名付けた存在に、俺は生まれ変わった」
「魔紋…?」
大護には聞き覚えがあった。
しかしその意味まではわからず、虹平は続ける。
幻妖のように他次元からやってきた存在ではなく、それに対抗すべく覚醒した久神でもない。
幻妖の影響で進化した稀人や契羅でもない、その魔紋とは、曰く全く新しい存在だと言う。
「全くの"無"から産み出した凶々しい気を自身に取り込む事で、まるで悪魔のような力を得た。それが"魔紋"だ」
「魔紋……」
「お前に対する強い恨みが、こうして"魔力"を生んだ!お前を殺す為だ!」
「………」
虹平の様子から、あまりにも強い自身への恨み故に和解は無理だと悟ってしまった翔次は、また深く目を閉じる。
そしてその次の瞬間、
「………っ!!」
「せめて俺の手で逝かせてやる……」
翔次はいつの間にか一瞬にして虹平のすぐ目前にまで踏み込んでおり、手に持った刀が虹平の胸を貫いていた。
それにより虹平は吐血し、翔次はバッと刀を引き抜くと、虹平はその場で崩れ落ちるように倒れ込む。
「虹平…」
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