~第参拾捌幕~

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それから数時間と時が流れた。 いつの間にか空には夕焼けも徐々に暗くなって月が見え、しかしそれでも幻妖の数は一向に減らない。 翔次も大護も徐々に体力の限界を感じ始める中、 「……そろそろ潮時か……」 遂に痺れを切らしたのか、翔次は奥の手とでも言うべき"冥土の葉炎"を刀身に纏う。 一方で大護は、激しく息を乱しながら途切れ途切れに口を開き、翔次に語り掛けた。 「正直言って…ずっとあんたが嫌いだった」 「……」 それに対し翔次は、無言のまま耳を傾ける。 「だけど…今日初めて思った」 「……」 「あんたの息子で、良かった!」 「………そうか」 そう言い終えるが先か、大護はニッと笑みながら、遂に力尽きたのかその場で崩れ落ちた。 翔次は咄嗟に左腕でそれを抱えるが、それを見越して四方の幻妖は一斉に飛び掛かってくる。 「…くっ…!」 するとその瞬間、 「ド阿呆が…砲撃(キャノン)!」 突然そこへ姿を現した煥が、飛び掛かってきた数体の幻妖を纏めて吹き飛ばした。 大護は朦朧とする意識の中で徐々に視界が霞むが、辛うじて煥の姿は目に入る。 そんな煥に対し、翔次は問うように口を開いた。 「裕紀か……?」 しかしそれに対し煥は答えを返さず、無言のまま大護を抱えて翔次に背を向ける。 そんな煥に向け、翔次はまた声を掛けた。 「……お前に託して正解だったようだ……」 「………」
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