~第参拾玖幕~

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「本当に悪かった、俺のせいであんたの右半身は…」 大護は改めて煥に謝罪するが、 「ド阿呆が…」 それに対し煥は即答する。 「二人の親に託された、お前の為じゃない」 「二人……?」 実は煥は、翔次だけでなく修にも託されたという。 修は息を引き取る直前、"お願いがある"と言って口を開き、 『私と翔次の子供達の、力になってあげて…』 最期にそう遺した。 煥にとって修は心友、翔次は盟友であり、その二人の息子である大護を責める理由がないと語る。 「……」 大護は言葉が浮かばなかった。 父の想いを知り、深い絆を感じ、そして煥に託された偉大な遺志をも汲み、大護は言葉が浮かばなくなった。 しかしそんな余韻は許さないと言わんばかり、 「立て、休んでる暇はない」 「え…?」 「俺が"四人目"だ!」 自身が最後の修行相手だと告げ、早速それを実行すべく大護を強引に立ち上がらせる。 リュウを相手に得意の保守的な動きを再確認し、零躍を相手に反撃の糸口を探る術を身に付ける。 そして過去の翔次と出会った事で、父の偉大さを知って精神的にも大きく成長した。 最後に煥は、今回の修行の内容を宣言する。 「これから俺は、本気でお前を殺しに行く。お前も本気で俺を殺しに来い!」 「…!!」 その次の瞬間、大護は背後へ大きく吹き飛ばされた。 それを皮切りに、また丸一日と時が流れたー。
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