~第参拾玖幕~

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二人の壮絶な死合を、リュウと零躍は遠く離れた位置から見守っている。 そして二人は、無意識に同じ事を思っていた。 「死合中の鋭い目付きはアノヒトにそっくりだな…」 「同感だ…」 大護は徐々に煥の能力を理解し始めていた。 煥は能力で目に見えない巨大な腕を操り、それで標的をド突くという、実は単純な技だった。 つまり、軌道さえ読めればかわす事も容易で、更に間合いを掴めればその隙に反撃に転じる事さえ可能だと思考する。 「砲撃(キャノン)!!」 「く…っ!!」 しかし頭ではわかっていても、なかなかそれを実行出来ず、更には煥自身に隙が一切見当たらない。 ならばと、 「ガン・フレイム!!」 「……!」 大護は間合いを詰める事を諦め、煥の間合いの外から人差し指を突き出し、その先から炎の弾丸を放った。 しかし、 「籠手(ガントレット)!」 それに対し煥は容易くそれを打ち消し、更に反撃に転じる。 それでも大護はそれをかわしながら、 「ガトリング・フレイム!!」 続けて五本の指を立て、同じように炎の弾丸を連射した。 しかしそれに対し煥は、それすらも容易く打ち消す。 「掛かったな、囮だぜ!!」 「……!」 一方で大護は、いつの間にかその隙に煥の死角である右側に回り込んでおり、そこで炎を纏わせた渾身の拳を振るおうとしていた。 「アクセル・レッド!!」
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