~第参拾玖幕~

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煥は右目が失明している為、右側が死角だとわかっていた大護は、まだ反応すら間に合っていない煥を完全に捕えるが、 「ド阿呆が…まだまだ甘い」 「…!!」 ほんの一瞬の間に、大護の視界から煥は消えた。 そしてまたその次の瞬間、気付いた時には大護は地に叩き伏せられていた。 何が起きたのかすらわからず大護は俯せに倒れたまますぐに立ち上がろうとするが、しかしやはり疲労が溜まっていたのか腕に力が入らず立ち上がれない。 それでも何とか力を振り絞って立ち上がろうとするが、 「ド阿呆が…」 「ぅぐっ……!」 その背の上に煥は腰を下ろして全体重を預け、それにより大護は微動だ出来なくなる。 そんな大護を戒めるかのように、煥は腰を下ろしたまま口を開いた。 「お前は熱くなり過ぎると周りが見えなくなる傾向があるようだ。目前の敵に集中するのは結構だが、敵の能力を見誤るな」 「え……?」 それに対し大護は漸く冷静になり、煥の能力について改めて考え直した。 その能力は、おそらくは火花と同じ"透明の腕(トラペアアーム)"のようだが、しかし二本しか扱えない火花と違って煥は六本の腕を操る。 大護は"それだけ"だと思っていたのだが、どうやらそれだけではないようだった。 先ず初めに名称の訂正とし、六本の透明の腕の名は"阿修羅の腕(アシュラアーム)"だといい、若い頃に再覚醒したという。
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