~第参拾玖幕~

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「それで親父は何を……?」 「ド阿呆が…ここまで話してまだわからないのか」 切羅丸は刀匠であり、翔次はそれを我流混じりに真似た。 つまり、 「翔次は生前に、お前達を護る為に一振りの小太刀を鍛えた。今は桜が携える"キザクラ"だ」 「…!!」 翔次も刀を遺していた。 大護の中では暫く関わりが無かった為に存在を忘れ掛けてはいたが、今にして思えばそれを手にした時、不思議な感覚に襲われた事を覚えている。 その刀を初めて手にした時、大護は無意識に抜く事を拒んだ。 そしてその刀を最初に抜いたのは、これまた無意識の桜だった。 「キザクラには、翔次のありったけの"念"が込められていたからな…」 「念……?」 その一言で大護は、また無意識に全てを理解した。 当時大護は翔次を嫌っていた為、無意識にその刀を扱う事を拒んだのだろうと推測する。 何より、その刀を"父が最期に遺した"と聞かされた時、明らかに不快感を抱いていた。 一方で桜は昔から両親を尊敬していた為、何の不快感もなく、まるで念に導かれていたかのように刀を使い熟していた。 しかし今の大護には、そういった不快感はまるでない。 「だったら、今ならちゃんと扱えるかもしれない……」 最後に大護は、心の中でふとそう思った。 大護がこうして修行に明け暮れる中、桜や明も各々の場所で順調に成長していた。
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