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両親が亡くなった時、大護が父の盟友に預けられた一方で、二人の妹は母の妹の元へ預けられていた。
つまり三兄妹は、これまでずっと離れ離れで暮らしてきたのだが、この春に二人の妹が高校に入学したのをきっかけに、十数年振りに会える事になっていた。
大護はそれが嬉しくて堪らず、ついニヤけ顔が治まらなかった。
「そんな事より、お前も今日から学校だろ。まだ出なくていいのか?」
「やっべ!」
大護はついつい時間も忘れて妹の話で盛り上がってしまい、急いで家を出た。
「渉さん、それじゃ行ってくる!」
「おう行ってこい!」
登校するにはまだ早過ぎる時間帯だが、大護が時間よりも早く家を出たのには理由があった。
「場所も時間も間違い無し…まだ来てねーみたいだな」
大護は、先に妹との待ち合わせ場所に来ていた。
二人の妹は、大護が通う学校に一年遅れで入学し、一緒に登校するのがずっと夢だったらしい。
大護も、妹に会えるのを今か今かと待っていると、
「もしかして…大護?」
「…!!」
突然誰かに声を掛けられ、それに対しゆっくりと振り返ると、
「お前……!」
そこには、一人の黒髪ショートで可憐な少女が立っていた。
少女は大護と目が合うと、
「やっぱり大護だ!久しぶりだね!」
「お、おう…久しぶり!」
すぐに不安気だった表情から一変して無邪気な笑顔になった。
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