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少女の名前は"緑川深雪"、二号室の住人だった。
因みに、大護は五号室に住んでいる。
「さっき一緒にいた可愛い娘はだれ~?大兄も隅に置けないないなぁ、このこの!」
深雪は、からかうように大護の脇腹を肘で突々くと、
「アレは妹の桜だよ、前に話してなかったっけ?」
大護はそれを軽く払い、少し声を張ってそう返した。
「へー妹、てことは私と同い年か。それじゃいっぱい仲良くして貰わないとね、そんじゃね!」
「おい!」
深雪は一方的に話し終えると、すぐに大きく手を振るいながら走り去っていった。
大護は思わずハーッと長く息を零すと、
「さて、行くか」
すぐに気を取り直し、自身の教室へと向かった。
新しいクラスを確認し、指定された自身の席を見付けて腰を下ろすと、
「なぁなぁ聞いたか、転校生だってよ!」
「マジで、男?女?」
新しいクラスメートの連中は、今日から来るらしい転校生の話題で持ちきりだった。
特に興味の無かった大護は、ぼんやりとした表情で窓の外の遠い所に目をやりながら、何も考えずにただボーッとしていた。
すると、
「ほーら席に着いた、お前達の新しい担任の井上先生だぞ!」
「……!」
新しい担任の教師が教卓に立ち、手を叩きながら皆に呼び掛ける。
「石川ーっ!」
「飯田ーっ!」
「伊集院ーっ!」
「"井上"だって言ってんだろ!!」
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