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「え? こんな時間に来客ですか? なんて常識知らずな……」
「それお前が言っちゃう?」
「ああ、セリスか。鍵は開いてるぞ。入ってこい」
アークが呼びかけると同時に扉が開き、嬉しそうなセリスが部屋に飛び込んできた。続いてティリー、エリも部屋に入ってくる。
あれ。ていうかロイが居るのになんの躊躇いもなく入れちゃったよこの人。
「あ! フィアもやっぱりこっちに居たんだね~」
「あ、こんばんわフィアさん!」
「うっわ、何よその荷物」
助かった。違う意味で涙が出そう。
「誰だお前ら。気軽にマ……フィアさんの名前口にしてんじゃねえよ」
「マフィアさん? あんた何言ってんの?」
「あ、お、お客様がいらっしゃったんですか!? ごごごごめんなさい!」
「ふん。つーかそこのチビ、何歳だお前? ガキは小便してさっさと寝てろ」
「あはっ。アー君、このクソ失礼な人だあれ~?」
ああ……早くも戦争が起きそう。とくにセリスが『クソ』とか言ってる辺りに相当なヤバさを感じたので、俺は慌ててロイの後ろ襟を掴んで皆から離した。
「うわ! どうしたんですかフィアさん!」
「お前ちょっと黙ってろ!」
って言ってるのに、言うこと聞かずに喋ろうとするロイの口を塞ぐ。その間にアークが一歩踏み出し、堂々たる出で立ちで言い放った。
「悪いなお前ら。こいつは俺の弟だ」
「弟!?!?!?」
またこいつはなんでそういう弱点まみれの嘘を!!
「弟ってあんた……どうみても同い年か、少し上っぽい感じに見えるけど……」
「アークさん、弟さんがいらっしゃったんですか?」
「アー君本当に~?」
疑いの眼差しが向けられる。だがその全てを無表情で躱しぬく辺りがアーククオリティ。
「本当だ。こいつは少し老けているが、俺たちの一つ下だ。なあ、ロイ。そうだよな?」
「そ、その通り。アークさんの弟のロイ・アルフェリオだ」
「ファミリーネームが違う!!」
こいつももしかしてアホなんじゃないか。
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