3,顔を出した非日常

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「まあなんにせよ、任務完了だなあ。喜べガキ共。たぶん第一号だぞー」 俺に張り付いたラビットをべりっ、べりっと等間隔で引き剥がしながら専用の檻に入れていくアーサー。おい、それくらい生徒にやらせろよ。つーか俺以外なんもやってねえじゃねえか。 「フィア、ありがとう」 「おう」 真顔でお礼を言ってくるアーク。任務の内容は十匹の捕獲だったので、他はまだ俺にくっついたまま。一匹をティリーに渡し、抱っこさせてあげた。 「あ……あ……、かわっ、もう可愛すぎて! はう! ふわっふわ! ああああう」 ちょ、ティリーが壊れた! くそっ、お前のほうがかわいいよこのやろう! 「なんかあっけなかったわね」 「うーん、ミルクティ・ラビット捕獲って本当はもっと難しい任務だったはずなんだけどねえ。ま、いっか! 危ないより良か……」 セリスがそこまで言った時だった。穏やかだった空気が掻き消える。 なんだこれ。ヤバイ。 膨大な量の魔力が地面を這いずり、俺たちを囲んだのが分かった。 「アーク!!」 「ッはい!!」 俺の声に反応したアークが側にいたエリとセリスを両脇に抱えて飛び退き、俺に言われずとも気付いていたアーサーは一人離れた所でラビットと戯れていたティリーを抱きかかえて跳ぶ。 それとほぼ同時に、半透明なドーム状の何かが現れる。半径十メートルほどのわりと規模のでかいそれは俺一人を中に閉じ込め、アークたちは間一髪でドーム圏外へ逃れていた。 俺一人が閉じ込められた理由。それはGランクのせいで身体強化ができなかったことと、大量に張り付いたラビットで動きにくかったこと。あとはアーサーとアークが遠かったことかな。俺のバカ。 けどそれは分かってた。だからこそアークを動かしたんだ。 「フィア!」 「フィアさん!」 セリスとティリーが抱えられたまま叫ぶ。アークはすぐにエリとセリスを離し、両手を突き出した。
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