プロローグ

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当たり前のように魔法が存在するこの世界。その技を磨いて生活の糧とするもの。研究に没頭するもの。己の仕事とし活かすもの。そして、最強の名を目指して戦うもの。使い方は十人十色だ。だが各々行き着く先は違くとも、『学ぶ』ということの必要性は変わり無い。 そして、人間を食料とする魔族や魔獣までもがはびこるこの世界で人々を守るため、戦うことのみに生きる集団があった。 その組織の名はギルド。 それは国中に幾つも存在し、名前も、依頼料も、規律も、強さまでもがそれぞれ違う。大きなものから極小さなものまで数多く存在するギルドの全てを把握することは不可能だ。 けれどその中で、国中の誰もが知るギルドがあった。数多い中でも断トツの『最強』を謳われる集団。依頼料も高額だが、入る依頼は絶えることを知らない。 その名は、『聖白』。 この国の象徴。強さの証明。そうして誰もが入隊を憧れるそのギルド、聖白の頂点に立つ人物がいた。彼はギルドマスターと呼ばれ、聖白を圧倒的強さで取り纏める堂々とした気迫とカリスマ性。誰もに慕われ、信頼され、頼られる彼だが、その正体は聖白の隊員しか知らない。 しかし知らないものは有り得ないと言われる彼に、公表された名は無かった。人々は名も知らぬ彼を呼ぶ術を求める。そうして生まれた彼の呼び名。 戦いに生きる者全てに慕われ、憧れる存在にも関わらず、その支持の高さに似合わない名を人々は呼ぶ。 ────『孤高の制裁者』と。
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