5,新たなるイケメン

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「実は俺の視野ってめっちゃ狭かったらしい。なんか自分が凄く恥ずかしく思えてきてさ。そんな学園にいたお前らが、聖白に来ていきなりまったく別の方針を突きつけられて大変だっただろうなって、ちょっと反省した」 一息置き、気を引き締める。無言で俺に注目する隊員たちを真っ直ぐ見つめ、思いきり息を吸った。 「けど!! 反省はしてるけど、後悔はしてない!!」 後悔はしてない。もっと言えば、俺のやり方には絶対の自信がある。 「ここは俺のギルドだ!! 依頼を預かり、それを受け、国のみんなのために力を使う場所!! 俺の聖白だ!!」 ありったけの声を。 こいつら全員、耳を塞ぎたくなるくらいの声を。 「今までと違うやり方だからって泣き言言うようなやつは他所へ行け!! 俺の聖白に、昔のルールを持ち出してごねるような奴は一人もいらない!!」 今なら胸を張って言えるよ、テオ。お前の言ったことは間違ってる。負け犬だなんて、お前が言える言葉じゃねえんだ。 「ここは強さを求める場所だ!! 圧倒的な力で、大切な誰かを守るための場所だ!! だからこそ、お前らはみんな強くならなきゃいけない!!」 強さが全て。それがここの理由。 「ここに入ったからには、お前らの全ては俺が預かる!! 命も! 力も! お前らの全部をだ!! けど忘れんな!! 全てを預かる代わりに、俺はお前らに約束する!!」 声が枯れる。けどそんなのは気にしない。俺が立っているこの場所。この聖白は、こいつらが選んでくれた道の先なんだ。だから…… 「お前ら全員、俺が絶対強くしてやる!!」 俺の聖白に来てくれた、大事な仲間だから。 「昨日よりも今よりも、もっとずっと強くだ!! 誰かを守れる一人の戦士にしてやる!! それが聖白の……俺の方針だ!! だからここにいる全員、黙って俺について来いッッ!!!」 俺の声に応える隊員達の雄たけびがそこら中に反響し、訓練所がぶっ壊れそうなほど。もはや訓練所自体が叫んでるんじゃないかってほどの中でも、俺はすごく心地よかった。 分かっていたようで、分かっていなかった大事なこと。 ここは聖白。学園で多くの選択肢を得たやつらが、それでも選び抜いてくれたたった一本の道。 俺は、その頂点に立っているんだ。
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