11,不穏です

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今日の授業。魔法は使えなくともバロック先生に立ち向かい、最終的には負けてしまったけれど体術では対等の強さを見せたフィアさん。それを見た他クラスの人も感心していて、私は何故か一人ぼっちになってしまったかのような錯覚に呑まれた。 アークさんやセリスさん、エリちゃんは元々魔法も上手で。だから『凄いなぁ』って尊敬している。だけどフィアさんに抱いた気持ちはもっとドス黒いものだった。 尊敬とは全く違う、もっと汚い嫉妬心。 だって気付いてしまったから。フィアさんもまた遠い存在なんだなって。私とは違う。いつまでも逃げてばかりの私とは違って、魔力がない代わりに体術を頑張ってきたんだ。 魔力が無くても、Gランクでも、少しずつみんなの意識を変えていける強さを持ってる。そんな彼と対等であるかのようにいた自分が恥ずかしい。 確実に認められていくフィアさんを、『羨ましい』と思ってしまった自分が情けない。 そんなことを思う資格すら無いのに。 『それは多分、自分でもう分かってるはずなんだ』 そう言ってくれたということは、私を評価してくれているということなのかな。きっと気付けるはずだから大丈夫……と、そう言ってくれた気がした。 だけど分からない。 何がどう違うのか分からない。 どうすれば良いのか全然分からない。 ”……やっぱり、フィアさんと私は” そんな気持ちを抱いてしまった自分が嫌い。 それに比べて、今日の授業でまた何も出来なかった自分が嫌い。 優しさに甘え、汚い自分を隠して笑顔を作った自分が嫌い。 もう何もかも…… 「大嫌いです……こんな自分」 だから今の私では。 きっと、彼を好きでいる資格すら無いんだと思う。
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