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右の拳を左の手のひらにパンッと当て、エルダ君にニッカリ笑いかけたあと、ステージに向かって勢いよく拳を振り下ろすガディア。武器である腕輪が装着された右拳がステージを殴った瞬間、ものすごい爆発と共に地割れを起こす。
「ええ!? ちょッ」
崩れる足元に狼狽するエルダ君。その隙にガディアは間合いを詰めていて、今度はエルダ君に対して振りかぶった。でも咄嗟に断空を出したエルダ君凄い。透明な壁にぶち当たった右拳はまた爆発を起こして断空を砕くけど、エルダ君へのダメージは無い。
「クッソ惜しい! スゲェじゃんお前!」
「そそそそんなものまともに受けたら死ぬって!」
「大丈夫大丈夫! 一応加減してっからな!」
うわあぁ、この世で一番信用出来ないタイプの『大丈夫』だぁ。
「だ、駄目だ……。俺も武器出そ……」
そう呟いたエルダ君が魔力を集めれば、身体の半分くらいはありそうな丸い盾が現れた。やだっ、かっけぇ。中々見ないんだよな、盾が武器の人。
まだ低ランクだからか装飾とかは無いシンプルなやつだけど、しっかり強度があるのが見てとれる。
「おお!? 盾!? カッケェーーー!!」
「嫌味にしか聞こえないよ……」
「よーし、そんじゃあ俺もフルパワーで……ッ」
攻撃一直線の自分とは対照的な防御系武器に興奮したのか。テンション上がりまくりのガディアが自分の右肩をぐりんぐりん回した。いや怖いわ! まだ威力上がんの!?
この俺の気持ちはエルダ君も同じだったみたいで、盾を構えつつも青ざめながら後ずさる。だが容赦なく距離を詰めていくガディア。どうかやめてあげてほしい。全然大丈夫じゃない。絶対加減してないじゃんアイツ。
「ちょ、待ッ」
「行くぜえええ!! 俺の拳とお前の盾、どっちが強いか勝負だ!!」
「いやいやいや君の方が強いよ! きっと強いから! あんまり本気で……」
「オラアアァアアアア!!!!」
エルダ君の必死の訴えも虚しく。
風を切る音すら聞こえる勢いで振り抜かれるガディアの拳。それは殴った威力だけでエルダ君の盾を砕き、そのまま胸の鏡にぶち当たって、あろうことかそのタイミングで爆発を起こした。
声を上げる間すら与えられず物凄い弧を描いて吹っ飛ばされるエルダ君。やがて地面に墜落して白目を剥く。あまりにボロボロすぎて見ていられない。鏡が壊れてるとかそんな当たり前のことは確認しなくても分かる。
「……勝者、ガディア・ゼレッタ」
「よっしゃあああああああ!!!!」
もうほらああぁ、ガディアのあまりのテンションの高さにバロック先生ドン引きだよ! 一瞬で覇気が無くなっちゃったよ!
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