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「ほおー……」
目の前に聳え立つ洋風の建物に、吸い込まれるように同じ服装をした少年少女が入ってゆく。
学校らしくない綺麗な、どちらかというとお城というフレーズがしっくりくるほど気品が漂っている洋風建築。
しかし、オフホワイトの壁に『海星学園高等学校』と彫られた学校銘板が埋め込まれている。
そう、此処は洋館のようだが確かに学校なのだ。
何度見てもうっとり眺めてしまう校舎。
丸襟の白いブラウスに赤いタータンチェックのスカートとリボン、金ボタンのついた濃紺のブレザーの制服。
素敵な校舎に可憐な制服。偏差値も進学校と呼ぶには申し分ない。
界隈の中学生憧れの高校、海星学園!
ずっとこの校舎に入るために、この制服を着るために必死に勉強してきた。
ああ……勉強した甲斐があったわ。
勉強のために中学校での青春を諦めた分も、此処で三年間、青春を謳歌したい。
新たな学校生活の始まりに胸をときめかせながら、あたしは海星学園に足を踏み入れた。
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