右腕ミンチ事件

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山に差し掛かると意外に坂は緩やかだった。 「なんでこんなところに建てたんだろうな」 思わずそう言ってしまったような場所に廃工場はあった。 「こういう使われ方をされるためよ」 彼女が廃工場の写真を撮った。 確かにそうかもしれないな。 自然と口に出していた。 「どこか中が全部見える場所ないかしら」 彼女はキョロキョロとし始めた。 「中に入れば良いじゃないか」 僕は扉に向かった。 「待って。犯行を覗き見するには中は危ないわ」 彼女は予想外な答えが帰ってきた。 「え?覗き見?」 彼女は死を愛する故に 死も恐れなかった。
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