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「聞こえてます?」
さっき廃工場から出てきた男はずっと夢野を見つめていた。
「似ている」
彼はぼそっと呟いた。
危険だ。
頭の中で警鐘が鳴る。
彼女をこれ以上見せたら殺される。
「失礼しました…」
逃げようとしたとき、彼は泣いていた。
「死んだ妹に似ているんだ」
彼は言った。
そうか、確か犯人はロングヘアーの女子高生を狙っている。
こいつだ。
犯人はこいつ。
どうやって帰る?
このままだと殺される。
危険だ。
危険だ。
逃げろ。
いざ死が目の前にあると手が震える。
死に憧れていることも忘れるぐらいに。
「そうなの。よかったわね」
彼女が口を開いた。
「早く行かないと記事がまとめられないわ」
彼女が裏を向き歩きだした。
男は目の前で立ち尽くしていた。
こいつが犯人であろう。
でかい収穫だった。
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